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【入国管理法】外国人労働者受け入れを中小企業経営者が活かすために

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入国管理法が改正されました。

これまで禁止されてきた単純労働者の受け入れに道を開くものです。

外国人労働者を採用したいと考えている企業向けに、改正のポイントをまとめます。

入国管理法改正のポイント

日本は、建前としては、外国人労働者は高度技能を持つ労働者に限って受け入れてきました。

それを反転させる今回の入管法改正の目玉は、いわゆる単純労働者の受け入です。

これまで日本の入管法は、単純労働者の受け入れを公式には認めていませんでした。ただし、技能実習制度が日本国内での単純労働者の不足を補っていとはたびたび指摘されていました。

技能実習制度とは、日本が発展途上国・新興国から労働者を受け入れ、現場での実習を通して技能を伝達することを目指した制度です。

技能伝達が建前であるがために、期間が限られており、研修期間中の 3 分の 1 は非実務の訓練に充てなければならず、研修終了後に同じ資格での再入国は認められないなど、数多くの制約があり、労働者、経営者共にデメリットが大きい制度でした。

これらの制約にも関わらず、技能実習生が増加してきた背景には、日本企業が深刻な人手不足に直面しているという現実がありました。

現在、日本人の質の高い労働者は単純労働にはなかなか集まらなくなっています。

それを、優秀な外国人労働者が、技能実習の仮面の元で埋めてきました。

今回の法改正の一つの目的は、技能実習という名目で事実上単純労働者を雇うという、建前と本音が乖離した状態を解消するでしょう。

「技能実習」とは別に、単純労働者として働くことが可能な「特定技能」という在留資格が設けられることになったのですから。

「技能実習」をやめて「特定技能」制度へ

新興国への技術移転を目的とした技能実習制度自体は、1993 年に発足し、滞在資格ではありませんでした。

2010 年に「技能実習」の資格が創設され滞在資格として認められることになります。

技能実習制度発足当初は日本への滞在期間は 2 年間、対象職種も17 のみであったが、現在では滞在期間は 5 年間にまで延長され、対象職種は製造業、建設業を中心に 77 にまで拡大されている。

ただし、あくまで技能を身に着けて母国へ帰ることが前提とされているため、家族の帯同は許されず、研修終了後に同じ在留資格で再入国することはできない制度でした。

特定技能1号が単純労働向け

新たに設置される「特定技能」資格には 1 号と 2 号がある。

単純労働者の受け入れという観点では、主に活用が想定されているのは 1 号の方でしょう。2 号には比較的高い専門性が求められるので。

特定技能 1 号については、滞在期間は 5 年であり、現在の技能実習制度と変わらないです。

家族の帯同が許されないのも、技能実習と同様である。健康保険制度については、これまでは日本国外在住の家族も対象となっていたが、今後は国内居住要件を課することが検討されているとされ、むしろこれまでよりも厳しくなるです。

新設される特定技能 1 号は、技能実習制度と大きくは変わらないか、むしろ条件が厳しくなる面もある。

一方で、就職の選択肢は広がるようだ。

特定技能 1 号の対象は 14 業種となっており、技能実習の対象ではなかった宿泊や外食が含まれます。

(14 業種は介護、ビルクリーニング、素材加工、産業機械製造、電気・電子情報関連、建設、船舶・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食)

そもそも、本来は単純労働者を雇いたいにもかかわらず、それができないがために技能実習という名目で事実上単純労働をさせることは、様々なリスクを抱
えていました。中小企業経営者の方には悩みの種だったと思います。

外国人労働者を、合法的に単純労働者として雇うことを可能にする今回の制度改正は、現実に起こっている変化を追認するものではあるものの、制度の透明性を高めるものと言えるでしょう。

外国人労働者側は日本で働きたいのか

日本が外国人労働者に門戸を開いても、日本で働きたい外国人がいなければ、人手不足解消にはつながらず、中小企業としても外国人を雇い入れることはできません。

移民の受け入れで先行した欧米先進国に加えて、少子高齢化が進むアジア各国でも外国人労働者を招き入れようとしています。

そんななか、外国人は日本に来てくれるのでしょうか。

ただし、在留外国人数は増加傾向で、いまのところ外国人が日本で働きたい、というニーズは一定残っていると言えるでしょう。

日本に滞在する外国人数は、2017 年末で約 256 万人となっています。

人口に占める比率は約 2%と、国際的に見て低いが、増加トレンドが続いています。

1980 年代には毎年平均 2 万人程度の増加であったが、1990 年の入管法改正とともに増加ペースが加速し、1990 年以降の平均では年間約 5 万 6 千人の増加ペースとなっています。

毎年の増減は景気情勢に左右される傾向があり、リーマンショックをきっかけに 2009~2012 年は減少したものの、2013 年以降は毎年 10 万人程度の増加基調、2017 年に限れば約 18 万人増加しました。

「技能実習」に限ってみれば、2010 年の制度創設以降増加基調であり、2013 年以降の増加ペースは年間 2 万 5 千人程度、2017 年に限れば約 4 万6 千人増加し、2017 年末には約 27 万 4 千人に達している。

以上は法務省の在留外国人統計に基づくものです。

それによれば、外国人労働者数は 2017 年 10 月時点で約 129 万人となっている。

在留外国人数全体と同様、2013 年以降は増加を続けており、2017 年までは毎年平均約12 万人の増加、2017 年に限れば約 20 万人の増加である。「技能実習」の資格に基づく労働者数は 2017 年時点で約 25 万 8 千人、2013 年以降は毎年約 2 万5 千人増加、2017 年は約 4 万 7 千人増加と、当然ではあるが法務省統計に近い値となります。

いずれにしても、様々な制度的問題点を指摘されながらも、現実に外国人労働者が増加してきたところを見ると、さしあたって日本で働きたいと思う外国人
労働者がいないということはなさそうに思われます。

「特定技能」取得の難易度はどれくらいか?

特定技能 1 号

特定技能 1 号の資格を得るには、単純労働とはいっても一定の技術水準を担保するため、対象業種の所管省庁が課す試験に合格することが必要になります。

この試験のハードルが高すぎれば、特定技能の利用は進まないでしょう。

反対に簡単すぎると、日本語もろくにできない外国人が増えて、社会的なコストが増加します。

ただし、そもそも人手が足りないという経済界側の要望があった上での制度変更であることを考えると、試験が難しすぎて利用が進まないといったことにはなら良い可能性が高いでしょう。

特定技能2種の難易度

特定技能 2 号にも注目しておきたい。

当資格を取得するにはさらに難しい試験に受かる必要があるが、受かれば家族帯同が認められ、かつ事実上長期にわたる滞在が認められることになります。

試験の難しさに加え、現時点では対象業種が建設と造船のみに限定されている。

取得のハードルは高そうだが、今後の運用に左右される部分も多いだろう。

政府は、新制度が発足する 2019 年度以降 5 年間で、新資格による受け入れを26~34 万人と想定しているようです。

外国人労働者は日本の雇用慣行を変えるのか

日本の労働市場の流動性は低いことが知られているが、その背景には年功序列や終身雇用といった言葉に象徴される日本型雇用慣行があるといえます。

日本型雇用慣行の下では、新卒として採用された日本人が内部昇進を通じて出世していく傾向が強く、その流れの中に外国人が入り込むのは一般的に困難です。

外国人にも開かれた労働市場を構築するのと、日本型雇用慣行を修正して流動性を高めるのは表裏一体です。

単純労働者を正式に受け入れる今回の入管法改正は大きな制度改革ではあるが、政府は、これは移民政策ではないという姿勢を貫いています。

だからこそ、特定技能 1 号には滞在期間の限定、家族帯同の禁止といった制限を設ける必要があるということになる。外国人労働者は、あくまで一時的な労働力不足解消のために受け入れるだけであり、外国人を日本の労働市場に深く受け入れるところまでは想定していないということになります。

もちろん、仮に移民受け入れを進めたいと思っていたとしても、国内の政治的抵抗は大きく実際には困難なのでしょう。

現実の経営の現場で汗を流している企業と、消費者との意識の乖離はまだまだ存在します。

でも、外国人労働者を企業の戦力にするためには、雇用慣行を変えることまで含めて、抜本的な経営改革が企業自身に求められるでしょう。

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